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その日あった一日の大報告会(嘘) 見てくれるだけでもありがたき幸せ!!
* admin *
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明け方近くに寝たのに、
朝早く起こされた・・・・うん、
眠いです

子にゃんこはまだいます
えーーまだいます
ずっといるのか、
いないのか・・・それはお母様による、

でも砂子さんは
とってもその子にゃんこにメロメロノックダウンです(古っ)
あまりの愛らしさにヤられっぱなしです、はい
可愛いっ
可愛すぎるっ!!!
やんごとなき可愛さでどうしようもないです、
構っていたら可愛い反応で
思わず悶えてしまった・・・・変態です(何をっ)

さーてーとー
今日で、
携帯サイトのURL載っけるのを下ろします!
来てくださった方、
ありがとーございます!
またいつかひょっこりと載せます!
今回見逃してしまった方は、スイマセンまたの機会で!

そいでは、
昨日の続きを!

+ + + + + + + + + +
+++++++++++++++++++++++++++++++++++



昨日のあの出来事がまだ新しい、
つか昨日の今日で忘れていたら俺がどうかしていると思う、
相当なお気楽人間か何か問題を抱えてる奴だろう
確かに俺も人の事は言えないくらい物事にはこだわらないが質ではあるが

「・・・・だけど目の前で人が落ちてるのは忘れられないよなー」

目の前だもんなー
溜息をついたら井国が顔を上げた

「は?人が何だって?」
「・・・いや、独り言だから気にせず食ってくれ」

口いっぱいにパンを頬張る姿に苦笑が浮かぶ
言われた通りにそのパンを飲み込んでから

「で、何?」
「んー・・・・いや、人って見掛けに寄らないのかなって言いたいの、」
「あーだろうな、」

何か思い当たる節でもあるのだろう井国はどこかに思いを馳せる

「俺の知り合いにも見た目と中身のギャップが激しい人いるわ」

それはもー詐欺だ!とは思うくらいにさ、
と小さく付け加えた時の井国の顔はその時の事を思い出したのか微妙に歪む

「俺も・・・・昨日スッゲーびっくりした」
「昨日?」
「うん」

敢えて何とは言わずに濁して自分も昼ご飯の弁当を突いた
今日も今の所は何事もなく一日が過ぎようとしている、
授業は滞りなく進み危険と思われるような呼び出しすらない

「・・・・来てないし」

視線を廊下側の前の席に向ける、
そこの住人であるはずの岸田の後ろ姿がない
朝から見ていないそれは今日はもう来ないのだろうか?
そうぼんやりと見つめた

「あら、広瀬くんったらもしかしたら恋?」
「・・・・は?」
「熱い視線は恋する乙女みたいよー」

やだわー妬けちゃう!!
なんてふざけた事を言いながら食べかけのパン片手に人の海老フライを摘む

「あっこら!」
「けちけちすんなって金持ちがー」
「お前もだろ!ちっとはしおらしい態度しろよ!」

好きなモノは取っとく質なんだよ!
そこは金持ち云々じゃなくって性格でしょ!?

「・・・・女々っちいなー広瀬、」
「かっ関係ないだろがっそんなこと!!」

ヤダわーこの子ったら、
等と言いたげな人を温い目で見る井国にイラついて
腹いせに井国お気に入りのパンを奪い取って食べ切った

「あ゛ーーーっ!!」
「もぐもぐもぐっっっ」
「ひどいっ貴方ったらどうしていつも!!」
「・・・・けっ」

昼時の騒がしい教室で、
一番騒がしい俺達
冷たい視線も
動向を窺うような視線も
今は井国のおかげで忘れることが出来た

そんな、
平和だった日常の頃のような時間を送った放課後

俺は今までの事を忘れたわけではないけれど
今のこの時だけは馬鹿な事にすっぽりと抜け落ちてしまっていた・・・・

「俺って馬鹿、だったんだなー」

そんな独り言に、あの岸田のおかしそうに


『ホントに馬鹿だねー』


笑う声が聞こえた気がした



人が少なくなった校舎を全力で走り抜ける
放課後と言ってもまだ生徒は半数はいる
部活をしている者は残っているのは当たり前で、
走り抜ける俺を何人かが振り返っては驚いていた
でもそんな事今の俺には立ち止まる要素にはならない
一刻も早くこの場から離れなくてはいけないから、

事のおこりは井国と帰り道にどかによって遊ぼうと約束をした時、
何気に手を入れた机の中に紙切れが一枚入っていた
何だろうと思いながら開いてみる

「・・・・」
「広瀬?」
「あ、いや、何でもない」

黙りこくる俺に不思議がり顔を覗きこんできた
はっと気付いて手にした紙をくしゃりと握り潰す


『だいじなものがこわれたくなかったら、いますぐはしりだせ』


走り出さなかったら何があるか分からない
それが何だと考える余地すらない、
余地、ではなく必要がないのだ
今の俺には、
大事なものがあるからには・・・・

「ごめん、俺さ用が出来ちゃったから今日パスできねぇ?」
「は、何?また先生から呼び出しでもあった?」
「んーまーそんな所、」

曖昧に笑ってそう言えば、

「あーあー気にすんなよ、お兄さん暇だし優しいから待っててやるよ!」
「え、あーいや」
「何よ、もしかして着いて来て欲しいの?まー淋しがり屋さん!」
「いやっ違くて!」
「んもー手まで繋いでほしいの!?どこまで甘ちゃんな、」
「井国!!」

いつまでも馬鹿を言うのを止めない言葉を遮るように大きな声で名前を呼んだ

「ん、何よー」
「あ、いやホントに良いんだ着いて来て欲しいとかじゃなくて、」

着いて来てもらって、
もし井国に何かがあったら俺・・・・今度こそ立ち直れない

「ホント・・・・大丈夫だからさ、」
「そっか・・・・気が利かなくて、ゴメン」
「うぅ・・・ん、気が何?」

ようやく納得してくれたのかと頷きかけて、
俯いた顔を井国に向けたらそこにあったのは、
ニヤついた表情
キモい・・・・

「失礼なっ」
「いや、思考を読まないでくださる?」
「聞きたくなくても聞かされる身にもなろうね、広瀬くん?」
「・・・・」

俺ってもしかし短絡思考なのか??

「かもね、」
「・・・・だから読むなって言うの」

もー何を言っても無駄で違う方向に捕らえるのだろう井国の誤解を解くのも面倒なので、
仕方なく教室で待ってもらうことにした

「時間かかると思うから、待ってられなかったら帰っていいから、な?」
「おうよっ気にしないで楽しんでこい!」

楽しむ?
コイツの頭の中で俺は一体何をすることになっているのやら、

「むふふ」
「・・・・何だよ!?」
「いんやー何でもないよ~それに暇潰しはあるから気にするな!」

そう言って井国のカバンから出てきたのは携帯ゲームやらそのカセット、
そして

「今日はこれでも作って待ってる!!」
「・・・・そう、ですか」

某有名なロボットのプラモデル
目に眩しい黄色の肢体が箱に描かれている

「あー・・・頑張って、下さい?」
「おうよ!」

元気よく返されて、
俺は脱力してしまう

「じゃー行ってくる」
「頑張れよー」

もう手元に意識を集中し始めた井国を横目に教室を出る

数歩だけ歩いて
そして走り出す

俺の足音が遠くに消える頃


「・・・・ホントに馬鹿」


小さく井国が呟いた
手にしたパーツを机に置いくと放りっぱなしだった携帯を耳に宛てる



「俺です、目標動きました、指示をお願いします」




井国はそう電話の相手に言った・・・・




言われるがままに走る
廊下を全速力で、
走って
走って
走って・・・・気付いた、
周りの反応が走り始めた頃と違うことに、
俺が横切るたびにさっきは驚いていたり、
何事だ!?と振り返っていたりしたのが今では何の反応もない、
いや、ある事はあるが振り返るも驚くもなくさも当たり前のように笑い見送る

「はっ・・・はっ!!」

切れる息をごまかし、
疲れて縺れる足を叱咤して走り抜ける

「追い付いちゃうよ、」
「っ!」

突然耳元で声がして振り向くと顔が知らない奴だが同じ制服の同学年と分かる同色のネクタイが見えた
けどやはり知らない
見たこともない

「広瀬七緒、悪いんだけど死んでくれる?」

言葉に不似合いな笑みで横切る刃の一線
理解するより勝手に体が動いて足が止まる
目の前を刃が通り髪を何本かはらりと落ちる

「反射神経はいいみたいだね、」
「・・・・なっだよ、一体!!」

ズリズリ後退りながら男を見る
昨日と同じように手にしたナイフのような物がノイズが走るように何度かブレた

「でも持久力はなさそうだね?」
「か、んけーないだ、ろ!俺のしっ問に、答えろっ!!」
「・・・・時間の無駄だし今から死ぬお前にそれは意味がある?」

ケタケタと気味悪く笑う男に震えが走る
昨日から、
イヤ、思い起こせばあの二週間前の出来事から訳の分からない事が多すぎる

「死ぬとか、殺すとかっされる身になってんのに知らないで死ぬなんて変だろうが!」
「・・・・まぁ、そうかもしれないけどさー仕方ないじゃん?」

俺の怒鳴り声すら意に返す様子もなく笑いは深まる
そして、

「俺らはお前を殺せとしか言われてないんだよ、」
「・・・・んだよ、それ」
「だからさ、理由なんて良いから殺されてくれる?」

そんな・・・・今日の掃除当番代わってくれる?みたいな軽いノリで言われて、
はいそーですかって殺される馬鹿いないだろうが!
心の中で罵って、
簡単に殺されてたまるものか!その思いでまた走り出す

「あはは!いいねー追い詰めて殺すって、ゾクゾクするよ!」

異常な笑いと言葉を吐きながら男は一定の距離で着いてくる
それは明らかに狩りを楽しむかのように追い付くのに手加減した速度
人の恐怖を煽って取り乱す事を望むかのように

「ちっくしょっ!」

何でこんな!
何で俺が!
関係ないのに、
会社の何かに携わった事など一度もないのに、
狙うとか、
殺すとか本当に意味が分からない

親や姉貴を怨んだりしようとは思わないけれど文句は言いたい
面白くない!!
防ぎようも回避しようもこれじゃ何かすら分からないじゃないか!!

走る中、
息切れで酸欠状態の脳みそで考える
どいにかしなきゃ、でもどうしたら、
まとまらない頭の中で軽い破裂音が聞こえた
正確には音が聞こえて脳が何かを理解したが正しい
っぴ
と、横を通ってまた髪がはらりと落ちる
頬が赤い線を引いた

「・・・・」

走りながら頬に手を宛てる
指が濡れた

「走るの飽きた」

後ろを見れば黒いものが握られその先が俺に向けられている
血が滴り落ちる
何かが自分の中で切れて無くなってしまったような感覚に襲われた

「・・・・」

走っていた足をゆっくりにし、
小走りだったのがしまいには立ち止まる
距離を取って背後の男も止まった

「追い掛けっこ止めて今度はお前踊れよ、」

そんな事を笑いながら言って腕を上げる

「こんな音楽でさ」

パンッと音が鳴ったかと思うと足元が弾かれた
その音と足元の衝撃にびくりと体が揺れる

「ぶっ・・・くっくっ!」

吹き出し堪えるような笑いが聞こえた

「見せ物はやっぱ一人より大勢だよな~」

笑いながらどこかしらに電話をかける

「オイ、誰でも良いからこい・・・・それまではお前も生きてろよ?」

笑い銃口が俺に向けられた
それを無言で見詰め返す
銃口は少し逸れた所に向けられ、
何度か軽い音が響く
ガラスが割れる音も、
壁を弾く音も次々聞こえた
俺に当てるわけでなく、
反応を楽しむように

「・・・・」
「ほら、さっそく見物人が来たぜ?」

何度かそれを続けていたらフイに視線が俺から外れる
指し示された方へゆっくりと体ごと向ける
俯き加減だった顔をあげ、
数メートル先に視線を送ると

「・・・・な、んで」

そこには見覚えのある顔が俺を見返していた

そんな、
な、んで?

手には後ろの俺を追い詰める男と同じ物が握られている
夕暮れの光に鈍い反射を見せた

「お前はホント・・・・馬鹿だよ、」
「・・・・い、ぐに?」

そう、
立っていたのはクラスメートの井国だった
ここにいないはずなのに、
教室でプラモを作って、
待っているはず・・・・だったのに、
こんな所でそんなモノを持っているはずがないのに

「何、お前ら知り合いだった?」
「・・・・」

へぇっと楽しそうに頷かれる
きっと最悪な事考えてるに違いない、
振り返って確かめなくてもコイツらの考えそうな事だから

「そうだよねー俺達は親友だったりしちゃうね?」
「・・・・」

井国がにっこりと笑いながら俺に返事を促す
でも俺は答えられない

「ここ二、三日は距離も縮まり深い仲になっちゃったり、ねぇ?」
「・・・・へぇ」
「だから君にやられるより広瀬も俺が良いよね?」

いつもの井国だ、
何でもオカシクしてしまうおちゃらけた奴
・・・・でも、俺には凄い良い奴で、
井国が言ったように親友だと、
思っていたけど・・・・それは俺の思い違い、だったみたいだけど

「だから馬鹿なんだよ・・・・言われなかった?そんな風に」

首を傾げて問い掛けられる
痛む心で泣きそうになりながらその言葉を受け止め理解する

「・・・・・・・・え?」

少し時間がかかって飲み込むとそれはなぜか引っ掛かった

「それも許された?」
「井国、なにを・・・・」
「だからさ、もーさよならしよう」

最後まで言わせずに構えた銃の引き金をなんの躊躇いもなく引いた


ドゥンッ


と重い音が響く
自分の身体を矢の如く通り抜ける衝撃を予感して、
力強く目をつぶれば

どさっ

背後で倒れる音
ゆっくりと瞼を上げればそこにあったのは、

「ばーーか」

呆れを含んだか井国の苦笑い
手にした銃がそのまま真っ直ぐ構えた状態で、
けれどその銃口は俺よりも後ろへと向けられている

「・・・・」
「ホントに馬鹿だよつか馬鹿以外有り得ないね、」
「な、なんで・・・・」
「は、何が?何でって逆に何さ?」

銃を指でくるりと回転すると、
井国の手の中には紺色のスクウェアな携帯が握られていた
今までその手には銃が握られていたのにも関わらず

「どうし、て」
「何が?」
「だっ・・・て、後ろと、」
「だから、何さ」

早く言えよ的に腕を組んで見下ろされ、
・・・・立場的に何か違う、気がする

「仲間、とかじやなか」
「はあぁぁぁぁ!?」

語尾を掠うが如く大きな声が重なる

「誰が誰と何だって!?」

あまりの井国の勢いに呑まれながら後ろを恐る恐る指差して、

「あ、あれと・・・・井国、が?」
「有り得なーーい!!絶っ対に有り得なーい!」

勘弁してよ!とか言いながら手が横に振られる
だって・・・・だってさ!

「アイツと同じようなモノ手にして扱ってるじゃん!」
「同じじゃねーよ!!」
「同じだろ!だって意味分かんないよっ拳銃から携帯って何よ!?」

一番の疑問はそれだよっ!!何なの!?一体全体それは一体何なのさっ!?

「質問は一つにして下さい」
「・・・・殴らないで、下さい」

無表情で拳で殴るって何事ですかね?って言うか俺まだ何も口に出してないんですけどー

「声に出すよりも煩いからね、広瀬くん」
「・・・・さいですか、」

聞かしてるつもりはまったくもってないんですけどねー

「あの、それで・・・・それは一体何なの?」

それを指差しながら聞くと

「これはね、」
「うん」
「これはー」

ピロリラリルロー♪

「はい、もしもし」
「ぇえええっ!?」

そこどで電話!?
つかむしろ出るかっ普通!?
むしろ何さその着信音!?
色んな事に突っ込みを入れていたい所だけれど、電話の相手と話してる井国の顔からそれができない、
今までの顔が一気に真剣なモノに変わった

「はい、はい・・・はい、分かりましたその様に行動します」

それを最後に携帯を切る
難しい顔をして何かを考えるかのように横に視線を流してから顔を上げた

「マズイ事になった」
「・・・・何が?」
「だから、マズイ事になったんだよ」
「だから具体的に何がマズイ事になっ」
「気配で感じとれ」
「・・・・だからって何も殴る事ないじゃないか」

痛む額を浮かんだ涙でその痛みを与えた人物を睨みつける

「もとはお前が単独行動さえしなけりゃこんな事にはなんなかったんだよ」
「どうし、て」
「お前さ二週間前に起こったこともう忘れたのか?」
「・・・・っ」

ますます呆れたような井国の声にグッと詰まる
忘れるはずがないっあんな事を!
一瞬にして目の前に赤が蘇る
血生臭さまで戻った気がして吐き気が込み上げる
そんな俺の様子に気付いて井国の手が伸びて

「忘れられないだろ?」
「・・・・」

くしゃりと前髪を撫でられて、

「だったら普通は単独行動なんてしないんだよ、」
「ごめ、ん・・・」
「なのにお前ときたら、どこへでも一人で行っちまうだからさ、」

苦笑交じりの叱責に、
いつもと少し違う井国が感じられる

「本当は俺も単独行動は許されてないんだ」
「?」
「まだ見習いだし・・・・だからあの人が来るまでの繋ぎ、」
「見習いって?」
「んーーとねー」
「あの人?」
「うーーんーー」

質問に言葉を濁す
要領を得ない井国の言葉に首を傾げた所で、



「おやおや・・・いつの間にかお仲間が増えていますね、」



聞き忘れられない声が俺の背後で聞こえた
途端に井国の顔が凍った

「誰かがついたとは聞いていたのですが」

くすくす笑いながら声と気配が近づいてくる

「ここに来るまでウチの者が死んで転がっていましたが、貴方ですか?」
「・・・・そうだと言ったら?」
「いえね、貴方のような方だとは思ってもいませんでしたので」

一定の距離で止まったのを確認すると井国に腕を引かれて背後に庇われる
頭越しに見えたのは二週間前に俺の周りにいた人間を笑みを浮かべて殺した男が立っていた

「それに・・・・まだ死んでないはずだ、」
「あぁ・・・彼らはヤられた時点で生きてる価値はありませんから」
「・・・・何?」

聞き捨てならなかったのか井国は低い声で返した、
何がおかしいのか男は笑みを深くする

「貴方ごときにヤられるなら居てもいなくても気にならない捨て駒ですよ」
「・・・・」
「私がすっきりと殺しておきましたから、お気になさらずに」

そして漸く男の視線が俺へと向けられる

「こんにちわ、まだ死なずに生きていてくれたみたいですね、」
「生きて、て・・・悪かったな」
「いいえ、とんでもない!貴方を殺すのが私の役目ですから、」

殺すとかそういうことを喜んで引き受けるとか、
役目とか、
生きてることを望んでるとか、
目の前の男が言っている意味が全く分からない
理解が到底追いつけない

「言っておくけど、コイツは死なせないぜ?」
「・・・大きく出ましたね、貴方ごときが私に敵うとでも?」
「まぁ・・・無理だろうな」
「だったら無闇やたらに噛み付かないことです、命が惜しかったなら」

男がそう言うと腕時計を外し斜め下に振り下ろすと刀が現れた

「アンタも侮ってると痛い目見るぜ?」

井国の手には日本刀のような刀が握られている
それらを構えて二人が睨み合った
決闘を思わせるような動きに場違いにも微妙に興奮して感動してしまった

うぉっスゲーっ!!

が、
やはりと言うか当たり前と言うか、

「・・・す、すっすんませんっ」

ぐりぐりと力いっぱい井国の踵が俺の足に減り込む
地味に痛いっ

「・・・・広瀬、」
「イタッイタタタッ・・・・な、なにっ!?」

踏まれっばなしの足をいかに痛みなく抜け出せるか考えていたら
井国の小さな声が

「このまま後ろへ逃げろ」」
「え?」
「尻尾を巻いて逃げるように全速力で走れ」
「・・・・は?」

逃げろ?
てか尻尾を巻いて逃げるように?
なんじゃそれはっ

「いいから、しのごの言わずに行け、OK?」
「ら、らじゃ」

一際力を入れて足を踏まれて思わず親指を立てて頷いてしまう

「行けっ」

掛け声と共にダッシュした

「・・・・逃げるんですか、」
「見ての通り?」
「潔いと言えば聞こえは良いですけど、情けなくないですか?」
「時と場合によるんじゃねーの?」

そう言いながらも一歩一歩と井国も後ずさる

「それじゃ」

身を翻して走り出した
その二つの背中をため息交じりに見送って

「やれやれ、」

困ったものだ、と
これみよがしに二度目の溜息を吐いてから刀を一振りする
それは銃に変わった

「まぁ・・・・たまには狩りに興じるのも良しとしましょうか」

男も後を追うように走り出した

その数十メートル先、
足音騒がしく走り去る二人はと言うと

「ちよっと井国!」
「何さ、」
「尻尾を巻いて逃げるようにって、どいうこと!?」
「お前にお似合いさ、だか?」

グッと先ほどの俺のように親指を突き立てる
違いと言ええば井国は晴れやかな笑みでもってそれをする

「・・・・に、似合うとか関係、なくない?」
「大有りだ・・・・危ないっ」
「っ!?」

腕を引かれ、
その紙一重で何かが紙を掠めて行った

「・・・・」
「良かったな、まだ耳が耳として耳がある場所についてる」
「あ、りがと」

礼を言ったらまたパンっと窓が割れた音がした

「当たるっ・・・・絶対に当たる!」
「当たんねーよ、当たるように撃ってきてねーから」
「井国っ何で、そんな暢気!?」
「慣れてっから?」

井国は走りながら器用にも肩を竦める

な、慣れてる?
何が?
どーして?
何で!?

「わ、わかんな、いよっ・・・・なん、か全部っ」
「だろうな、」

ほんの少しだけ困ったように笑って

「だって俺とお前じゃ生きてる世界が違うから」
「・・・・なに、そ」
「そう彼は私と同じ世界の人間、貴方のような光の中でしか生きたことがない人には理解できない」
「!?」

井国の言葉に同意を示しながらも銃の持ち手の部分で殴り払い、
そのまま俺の襟首を掴んで引き仰向けに倒し

「理解できなくて当然、私も彼も【殺し屋】なのですから」


俺の上に馬乗りで首に指が回り
少しでも力を入れれば容易に絞まる状態で言葉を続ける

「そうですよねぇ?」

そして銃口は飛ばされた井国に標準が狂いなく合わさる

「・・・・お前らと俺達を一緒にするな」
「どこが違うと言うのですか?」

男の言葉に口から血を流しながら起き上がる

「今の貴方が助ける立場だからですか?今の私がこの人を殺す立場だからですか?」
「・・・・」
「綺麗こどにも程がありますね、貴方がただって依頼をされれば人を殺すのでしょう?」

ハッと小馬鹿にするように鼻で笑い
井国を一瞥する

「それとこれと何が違うと言うのですか、」

今、人を殺す立場の目の前の男と
いつかは、人を殺す立場になるであろう井国
確かに何も大きな違いはない
現在か未来かだけの違い以外は何も

「結局はどうせ貴方もその手で、その武器で人を殺すのでしょう」
「・・・・確かに、いつかは俺もアンタと同じように人を殺す」

立ち上がった井国は、
その目に後悔の色などはなかった
諦めとも違う何かがその目に宿るかのように男を見据える

「・・・・そう、訓練されて来たから」
「人殺しの機械としてね」
「いや、アンタらはそうかもしれないが俺達は違う」

吐き捨てるように言って銃を構えた

「人を愉しみながら殺すことはしない、無闇やたらに殺したりはしない!」
「はっ・・・それこそ下吐が出るほど下らない綺麗事ですね」

先ほどよりもより濃い嘲笑を浮かべ、
首から手を離して立ち上がるも今度は足で俺の喉元を押さえた
手で押さえられていた時よりも起き上がるチャンスが小さくなる

「貴方、甘ちゃんだと言われませんか?」
「さぁね、聞いたことねーよ」
「だったら貴方がた全員が下らないことを思ってる馬鹿な集団なんですね、」

男は明け透けに馬鹿にしたように笑い井国を挑発する
案の定その言葉を受けて青筋が浮いた

「お前ら人間のクズみたいな連中に言われても痛くもねーよ」
「いつかその思想でクズのように死んでいく貴方がたが見物ですがね、」

男の方が井国よりも一枚上手のようである
いっそう額の青筋がはっきりとしているのが分かる

「それともクズかごに捨てられるゴミのように今、死んでみますか?」

それはそれは綺麗に男が笑った
それと同時に井国が動く
構えていた銃の引き金を弾いた

ドゥンっ!!

重い音が響く、
金属と金属のぶつかり合う音が一瞬遅れて響いた

「・・・・覚悟が足りないから当たらないんですよ、」

銃からいつの間にかまた刀へと変わっていたそれが顔の前に掲げられていた

「っ!」

俺も井国も息を呑む
あんな一瞬で弾かれるものなのだろうか?
銃と刀の刃では弾の方が負けるのだろうか?
そんな考えが頭中を駆け巡りそして、

一つの事に答えが決まる

「言ったはずです、貴方と私ではレベルが違うと、」
「・・・・」
「今ここで貴方と私の下の彼は殺されるでしょう、」

ちらりと笑みの浮かんだ視線が下りてくる
不似合いな言葉が落ちてきた

「貴方の助けなど空しくね・・・・可哀相に」

くつくつと笑い
両手で握った柄の部分が引いて水飴のように伸びたと同時に別れて、
二丁の拳銃が握られていた


「さようなら、またいつかどこかでお会いしましょう」


にっこりと笑い
二つの引き金を・・・・



「お前がその引き金を弾く時が命の終わりだよ」

とすっと何かが男の背中に当てられる
音も気配も何もなく煙のように現れたのは、

「き、岸田?」

いつものように前髪に隠れた眼鏡と素顔
いつもどうしてたが逆光でしか見たことがない姿

「はい、岸田君です」

そう告げて笑った
かと思うと人が悪い笑みが瞬時に浮かぶ

「・・・・あらあらあら、広瀬君ったらー何ちゅー素敵な恰好!」
「・・・・は?」
「足蹴にするのも一興、だがしかし可愛い子ちゃんなら馬乗り希望」
「・・・・はい?」

うはうはじゃーん?ってされてる俺に言われても何の事かさっぱりです、

「さてと、君もその物騒なものしまってよ、」
「・・・・」

俺から視線を外し男の背中をにやにやしながら見つめる

「じゃないとど真ん中に穴が開くぜい!」
「・・・・その前に二つの穴が開きますよ?」
「自信過剰だね、俺の前に開けようっての?」

男の言葉に楽しげにカラカラ笑って、

「一億光年早いよ、」
「貴方は過剰と言うより自惚れ屋ですか、」
「馬鹿だね、事実だよ」

辛辣な言葉にさえ笑って跳ね飛ばす岸田
漸く男の顔から表情みが消えた

「だったら、貴方のその弾が貫通した時に二つの弾も貫通しますよ、」
「しないよ、」
「・・・それはどこから来る自信ですか?」
「自信?違うね、」

岸田はまたも笑う
場違いな程に明るく楽しげに、

「それは絶対に近い当たり前の事だからさ、」
「この世に絶対ほどないものはありませんよ?」
「そうだね、だからそれに近いものだ」

近いものだ、
そう頷いて

「だから早く下ろしなよ」
「嫌ですよ、撃ち殺すつもりなんですから」
「ふーん・・・・だったら撃ってみれば?」
「・・・・何?」

え?
同時に俺達も声を上げて岸田を見た
その顔はヤケで言ってるようにはまったく見えない

「いいよ、撃っても」
「その言葉を・・・後悔しても遅いですからね」
「しないよ、だからさつべこべ言わずに撃つならさっさと撃ちなよ」

けしかける言葉が言い終わらないうちに、
全てが動いた
男が引き金にかけていた指に力が入るのと
岸田がそれより前に、
それ以上に早く飛び上がって何の音も空気流れさえも感じずに身体か反転し足が男の背中を蹴りつけた

「!!」

勢いよく廊下の先に吹っ飛んでいく
それをあんぐりと見送る俺と井国

「ほらー撃てなかったでしょう?」

ふわりと着地をしながら笑う


漸く動けるようななった体を起き上がらせて、
岸田とぶっ飛んで行った男を交互に見遣る

「あっはっはっ!スゲー飛んだなーかっちょわりー」

何がそんなに面白かったのか腹を抱えて笑っている

「・・・・」
「・・・・えっと岸田、だよね?」

井国はいまだあんぐり口を開けたままに固まって使い物にならないので、
恐る恐る聞いてみる

「ぅへ?」

変な声の返し
何を言われたのか考えたみたいな一瞬後
どこかにいそうなオバちゃんみたいに手首で上下に振って

「あらやだー見て分かるでしょー?」
「いや、うん見た目は?分かるんだけど・・・・」
「いい男すぎる?」
「いや、顔見えないですから」

そんな長い前髪と眼鏡といつも何故だか逆光っポイからはっきりと見えないんですけど、

「あんれ、それは気付かなかったわー」

キョトンとした顔が苦笑に変わっておもむろに眼鏡を外す
長い前髪をかきあげるのかと思ったら掴んでズルリと滑らせた

「・・・・はげ!?」
「ちっが!」
「ぶふっ」

おもいっきりズラを顔に投げ付けられた
ぴしぴし当たってこれまた地味に痛い

「まったくもー世界一の美男子捕まえてハゲはねーだろハゲは!」
「・・・・ぇ、」

ズラが取れて見えた岸田の顔は言葉通りもしくはそれ以上だった
思わずポワンと見惚れてしまう
ズラとしてかぶっていた黒髪ではなく色素が抜けてしまったかのように薄い髪質と色
それと同じ色の瞳
よりいっそう色が栄える肌の白さ
自分で言っちゃってるけれども、まさしく綺麗な顔立ちだった

「どうよ、褒めたたえr」
「いいいいっ和泉さん!?」

語尾に重なるまたもや大声
どうやら復活したらしい井国の声だった
ムンクの叫びを表すかのように両手を頬に当てている

「・・・・おやーん俺をそう呼ぶと言う事はお仲間ちゃんだね?」
「お仲間?つか・・・・和泉、さん?」
「おぅ俺の名前じゃけーの」

岸田の下の名前はヤスツグ?だった気がする
はてな?と一人首を傾げて考えていれば、
くるりと振り返って井国をジッと見つめた
次の瞬間

「あぁっ!諫早君!?」
「はいっ」
「なるほどー研修中、だよね?凄いね、分かんなかったよ!」
「はい!ありがとーございますっ」

二人は二人だけしか分からない事で何やら手を取り合って褒めたり礼を言ったりを繰り返した

「・・・・いさはや?」

もー何がなんだか理解が出来なくなってパンク寸前に

「じゃー後から来る護衛って言うのは和泉さんの事なんですね?」
「そーよ~ん、ただ対象が単独行動多すぎてちと探してしまいましたがね、」
「あー・・・・」

そう言ってぐるぐるしている俺にちらりと一瞥
ちなみに同じように井国(いさはや)?もちらっと一瞥

「な、何だよっ」
「いーえー可愛いなって?」

嘘だっ
絶対に嘘だーー!
その視線と言葉に目だけで雰囲気的に噛み付く
そんな俺にただただ笑みを浮かべるだけで

「改めまして?かな」

そう言いながらごそごそ何かを漁って出てきたのは黒い手帳
開いて見せられたそこには顔写真と簡潔に


【 縁    和泉
  Enishi  Izumi 】


と、書かれていた

「俺はね君のお姉さんからの依頼で新しく護衛につかせて頂いてる、和泉だよ」
「・・・・護衛?」
「そぅ、君の家の会社のある取引がね明日には終わるんだ」

やっぱり、
その言葉が浮かんでは消える

「俺には、関係ない」
「まーね、お子ちゃまには関係ないけど」
「・・・・」
「でも相手はそんな事はどうでもいいんだよ、取引さえ失敗すればね」

そんなもんだよ世の中
と、軽く笑う

「君が死んで取引が失敗したら良し、広瀬内部が混乱すれば一石二鳥なんだよ」
「・・・・」
「それだけ君は家族に愛されてる、それは理解できるよね?」

諭されるような言葉に頷かずにはいられない、

分かっている
痛いほど身に染みている
確かに俺は家族に愛されてる
ただ何も言わず、
知らされずに事が進んで
気付いたら終わってて
それを知らずに終わるのが嫌だった

「まー多感なお年頃だからねー」

俺の葛藤がそんな言葉で括られる
なんか色々とぐるぐるしてるのが馬鹿らしくなった
そんな俺に、

「そんな行動派な君に試験だ!!」
「・・・・は?」
「い、和泉さん何を?」

いきなりイエーイの掛け声と共に頭に乗せていた眼鏡を指に引っ掛けて、

「その行動力、惚れ惚れしちゃうわー」

にこにこ笑って指で回した眼鏡が上に跳ね上がる、
そして落ちて来たのは野球ボールほどの大きさの白い球

「え?あ、あれ?」

眼鏡はどこに行ったのかと上へ下へ右左と見渡す

「探しても眼鏡はこれ、因みに種も仕掛けもありな手品です!」
「それは手品じゃないんじゃ・・・」
「そーかもね!」

どっちだよ!
と思わず心の中で叫んでしまったのは俺だけじゃないはず、
井国も微妙に手が裏拳的ツッコミの動きをした!

「まーその辺は気にしないとして、」
「・・・・」

普通はすると思う!!
そんな思いを視線に込めるけど意に返さないらしい

「広瀬君、これで何かを創ってごらん」
「・・・・は、え??」

放って寄越された先程の白い球
手触りはーあれだ、
紙粘土みたいな感じですべすべしてそうでそうでなく、
柔らかそうでそうでないような感じで?

「これは?」
「それはー・・・んとね、何て言うか」

この反応、
見た事ある・・・っていうか井国の反応と同じだ、
そして最終的には

「説明がややこしいからその内ね、」

だった
話しを流す井国と似たようなもんだ・・・

「まー簡単に言うと、形状記憶な特殊合金?な感じ」
「・・・どんな、感じ?」
「ここに普通の紙粘土があります、しかしその紙粘土の中にとても小さな小さなチップを組み込みます」
「はい、」
「するとね、そのチップが紙粘土をこねた事によって思い通りの形に変化するんだよ、」

チップにそれをプログラムさせればね何でも変わるんだよ、
そう和泉さんは言った

「・・・・」
「俺が刀とか銃とかに変えただろう?」

井国も補足するかのように言葉を付け足す

「あぁ・・・そう言えば、」

変わってた、
井国のも吹っ飛んだままの男のも昨日の窓から落ちた奴のも、

「何か思うように変えてみな」
「・・・・」
「和泉さん、だったら俺の方が良いんじゃ?」
「んー幅広くなら俺のが適役、大丈夫きっと変えられるよ」

言われてその白い球を指先で押す
それは簡単にぐにゃりと歪んだ

「!?」
「何に変える?何にしたいと考えながらそれに近い型にしてごらん?」
「・・・・」

指先でそれをもっと歪ませて先程から見慣れたあれに引き伸ばす

ぐにゃり、
へにゃり、
ねとーん・・・・

「・・・・キモイ」
「やる気なさげのようですわねー」

やる気とかの問題か?コレ
そのままそれをこねたら漸く白から黒へ、
一気に形も硬さも変化して行った
今までのが嘘のようにそれが手の中におさまる

「おぉうっ変えられたじゃーん!」
「嘘・・・・マジで?」

黒光りする拳銃
持ったことも扱ったこともないけれど、
それが本物だと疑う余地はない

「君、素質あるよー事が済んだらスカウトしに行くからヨロシク!」
「・・・・え、スカウト?」
「和泉さんっ!?」

井国の焦ったような声が耳元で響き、
キーーンとした耳鳴りが続いて響いた

「い、井国君・・・・ちょいと声がっ」

抗議してもご本人様には届いていない、
いったい何なのさっ

「だってウチは他社に比べたらまったく人数が少ないんだよ?それに反比例して仕事が多いし!」
「そうかもしれませんけど!」
「いいの、いいのーアイツから好きなようにしていいと承諾貰ってるんだから!」

気にしなーーい!カラカラとまた笑って、
焦る井国の肩をぱたぱた叩いた
そうしながら俺の手から先程の拳銃が取り上げられて、フと目で追ったらそれはもう刃渡りが相当長い日本刀に変わっていた

「そんな事よりもー」
「・・・・?」

ひゅるりと手首だけの運動で刀を一回転させる
そして擦り足で一歩前へと踏み出した
その瞬間、

ガキーンッ!

金属がぶつかり合う音
小さく火花が散る
目の前には光を反射する刃があった

「生きてたーつか生き恥曝してるね!!」
「いいえ、貴方たちの会話を聞いてただけですよ、」

先程まで廊下のはじの方に転がっていたはずの男がいた

「そうですか、貴方がねぇ」
「何だよ有名人って分かってサイン欲しいのか?お前にはやらねーよ?」
「貴方のサインはいりませんよ、」

キーーンという弾く音を立てて二人が間合いを取った

「ただ貴方があの有名な【鬼神】だったとわね」
「アレ?気付かなかったの?」
「スイマセン世間知らずなものでして」
「ところでアンタはどこの誰?」

くるりくるりと手首だけで刀を回す
問われた男は立てた柄に手を置いて頭を下げながら

「申し遅れました【殺生組】の者です」
「・・・・」
「ご存知ないと思いますよ【縁】ほど有名でもなければ大きくもありませんから」

頭を上げながら笑う
微妙な間合いは縮まることはなく
相手の出方を見るかのような空気が流れた

「俺が誰かだと知ってまだ殺る気ある?」
「逆に貴方が【鬼神】と謂われる所以が知れそうだ」
「・・・・良い根性だ」

和泉さんが笑った
先程まで見せていた笑みとはまったく違う背筋が凍るような笑み

「っ!」

回し続けていた刀がその直後に下から上へ半月を描くように走った
一瞬遅れて男が避けるように顔をのけ反らせる

「遅い」

流れるような動きで刀が振り下ろされ

キンッ

その言葉通り構えたはいいが力が不足して肩に刃が食い込む

「っづぅ!」

痛みに顔を歪めながらも刀を弾き返して離れ
男が着ていた制服の白いシャツの半分が赤く染まる

「どうした、お前らはその程度か?」

刃についた血を薙ぎ払って
その刀を肩に置いた

「・・・・っ」

俺達は圧倒的な速さと強さに、
息をするのも忘れたかのように魅入ってしまう



+++++++++++++++++++++++++++++++++++

またも長くなってしまったので、
次回に!!

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